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【あらすじ:イシャナ・エラシア編】
3066年、エラシア人とセレフィム人との間で「終焉戦争」が勃発。
十一年におよぶ激戦の末、エラシア王国を中心とする連合は敗北し、3087年に終戦を迎える。
和平の代償として、帝国時代から築き上げた財と威信の大半を喪失した。
連合全体の戦死者はのべ二億七千万人を超え、人口の六割以上が命を落としたと記録されている。

敗戦の責を負った国王、ルクレオン・エラシア二世は、荒廃した王国の再建に尽力する。
しかし政務の重圧と国庫の枯渇、貴族たちの反発により心身をすり減らし、終戦から四年後の3091年、在位のまま崩御する。

残されたのはただ一人。
当時六歳の王女――イシャナ・エラシア。
神の血を継ぐ最後の純血として王位を継承した彼女は、実権を奪われたまま“お飾りの姫”として育てられる。

戦に敗れ、王を失い、民は未来を見失った。
だが静かな瓦礫の王宮の奥で、少女はゆっくりと目を覚ましていく。

やがてその手が、滅びかけた王国をもう一度掴み直すときが来る。
――これは、ひとりの王女が“真の王”へと至るまでの物語。

七国連合とは

かつて、大陸の中心には一つの巨大な国家が存在していた。
その名は——エラシア帝国。
この帝国は広大な領土と統一された文化を持ち、
長きにわたり多くの民と王族を束ねて繁栄を誇っていた。
だがある時を境に、帝国は七つの独立した国家へと分かたれた。

エラシア王国(Ellasia):発祥の地。象徴国家としての役割を持つ。
ヴァステン帝国(Vasten):軍事・秩序・技術の大国。
ヤマトカ皇国(Yamatoka):東方の霊峰と神殿を抱える神秘の国。
トレミア神聖国(Tremia):信仰と神託に支えられた神政国家。
ロゼル連邦(Rozel):自由都市の集まりによる貿易国家。
ネブル王領(Nebel):知識と契約文化に優れる学問国家。
ルガード公国(Rugard):騎士道と武芸の伝統を守る戦士国家。

国が異なっても、その民は同じ“源”を持つ。
だからこそ、彼らは今もなお「エラシア人」と呼ばれている

神々の体系

エルディア神話
かつて、世界にはエルディアと呼ばれる楽園が存在していた。
そこには百柱の神々が共に暮らし、争いも飢えもない、調和と永遠に満ちた時が流れていた。
だが、その平穏に終わりが訪れる。
誰にも予測できなかった——“激神(げきしん)”と呼ばれる、たった一柱の神の暴走によって。
激神は、瞬く間に七十柱もの神を虐殺した。
その力は神々すら凌駕し、世界そのものを破壊する意志を抱いていた。
激神は、楽園エルディアを滅ぼすため、空に浮かぶ衛星“ルナ”を、地上へと落とそうとした。
——世界を、空から潰すつもりだったのだ。
その危機に、残された神々は決断する。七柱を残し、他の神々——二十二柱は、自らの肉体と魂を“矢”へと変えた。
矢と化した神たちは、地表に迫るルナを貫き、その軌道を逸らし、辛うじて落下を食い止めた。
今なお、空に浮かぶ“ルナ”と地表は、一本の神柱で繋がれている。
それは、神々の犠牲の証であり、世界の最も古き封印である。
しかし、怒り狂う激神は、なお戦いを止めなかった。
最後に残された七柱の神は、数日にも及ぶ激戦の末、激神の半身を引き裂き、ようやく彼を制した。
だが、なお戦いを止めようとする激神を、神々は力を振り絞って、地下深くへと封じた。
力を使い果たした七柱の神は、それでも再び楽園を築こうと試みたが、
その身に残る力は、もはや神々の国を支えるには足りなかった。
彼らは決断する。
当時、最も強く、最も誇り高かった人々——“エラシア人”に、自らの血を与え、
その中で生き続けることを選んだ。
こうして、神の血は人に宿り、“神に最も近い民”として、エラシア人の歴史が始まった。
今では誰もが知っている、寝物語である。

年表

この世界における主要な出来事を時系列で記述する予定です。